完全無欠のロックンロールに文句なんかつけらんない。
2010年、当時18歳。高校卒業を間近にひかえたころだったと思う。卒業からもっとも遠いと言われた僕が卒業したという事実もまたすごいことなのだけど、それとならぶ事実がこのUNISON SQUARE GARDENの存在だった。
GLAYの新曲のMVをYouTubeで観ていたら、関連動画をたどっていって(たぶんBUMP OF CHICKENとかのロキノン系?のバンドをはさんで)到着したのが「センチメンタルピリオド」のMVだった。
衝撃。全身に電流が走ったかのようなビリッという感覚。とりあえずもういちどそのMVを観る。関連動画もチェックする。「マスターボリューム」「Mr.アンディ」などのMVもチェックする。これはたいへんだ。たいへんなバンドと出会ってしまった。つぎの日の学校が終わってから、すぐにレコード店におもむいて1stアルバム『UNISON SQUARE GARDEN』を買ったよね。
いやもうね、いままでのビートとかグルーヴとかってなんだったんだろうな、って錯覚すらおぼえたアルバムだった。Perfumeで爆発したデジタルサウンドはその当時は世のなかの流行だったし、いまもたぶんそうだと思う。世界の終わりとか毛皮のマリーズとか、そういう音色をバンドサウンドに取り入れたミュージシャンたちはいっぱいいた。ProTools、シンセサイザー、ターンテーブル…etc。これはいい点でもあると同時に悪い点にもなりうるんだけど、正直なはなし、どこまでが本人たちの力量なのかわからないデジタル音楽やボイスエフェクト。それがイマドキのロックなのだよと言っちゃえばそれまでだけど、そこに、4リズムで真っ向からぶつかっているような存在が、UNISON SQUARE GARDENに思えた。
ギター&ボーカル、ベース、ドラムス、いちばんシンプルな3ピースバンド。手数の多い貴雄くんのドラムはグルーヴィかつタイトな土台をつくってて、一見すると堅実なルートを刻んでる田淵さんのベースは荒ぶりながら裏からも華をみせてる。なにより斎藤くんのボーカリゼーションとギタープレイ。デジタル処理でなんでもゴマカシの効くいまの音楽シーンに、自分たちの演奏だけで立ち向かういさぎよさがある。
「マスターボリューム」の“突き刺してよマスター”のあとに入るブレイクから、斎藤くんのうなり声が聴こえたときは、これかぁ〜!と思った。WowとかHahとかYeahとかはよくあるけど、うなるって。すごい新鮮だった。それにセンチメンタルピリオド、ソリッドなサウンドに斎藤くんのボーカルがグイグイくる。「高性能のヘッドフォンなんで世界の音も聴こえません」なんて言ってのける田淵さんのリリシズムもグッとくるものがある。
「カラクリカルカレ」で斎藤くんの突き抜けるようなボーカルがすでに最高潮。「センチメンタルピリオド」をはさんで「サンポサキマイライフ」までのメドレーは神がかった流れがある。「箱庭ロックショー」や「デイライ興奏楽団」ではユニークな歌詞もあいかわらずながらむずかしいメロディラインを完ぺきなアンサンブルで演奏してる。「クローバー」ではミドルテンポにキレイなアルペジオで有終の美をひとまず飾ってる。
じつはこれよりまえに、『流星前夜』というミニアルバムの二曲目にある「フルカラープログラム」でかなり彼らの方向性は見えてる気がして。ロックンロールの最小限のサウンドで魅せる高速ビートは、「そしたら誰も文句なんかつけらんないから」という圧倒的な決め台詞と「完全無欠のロックンロールを」という象徴的なフレーズで、日常の文化と衝突しながら生きているポップミュージックの内側からロックが鳴りやまない理由を体現してるようで。いまなお「フルカラープログラム」はそういう側面から大好きな曲です。
もういちど言うけど、切り貼りのきく音楽シーンで不完全な有象無象が氾濫してる現代において、丸裸で勝負できる稀有なバンドです。僕はこれからもこのたのしいバンドを追っかけます。音楽がたのしいことは知ってたけど、こんなにもたのしいっていう踏みこんだ事実は、ユニゾンがちゃんと教えてくれたから。
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