- れお: み〜。
- なっち: み?
- れお: み〜んなの視線を〜?
- なっち: あっはっは(笑)。
- れお: いただき〜?
- なっち: なにこれ(笑)。
- れお: まゆゆ〜。
- なっち: 言っちゃってるし。もう言っちゃってるし。
- れお: どうもれおでーす。
- なっち: いや「まゆゆ〜」って言っちゃってるし。
- れお: み〜んなの視線を〜?
- なっち: いやーいいよもう(笑)。
- れお: いただき〜?
- なっち: 来るぞ来るぞっ。
- れお: まゆゆ〜。どうもれおでーす。
- なっち: いやだから「まゆゆ」って言っちゃってから自己紹介されても(笑)。だいたいれおの推しメンまりこ様だったろ。
- れお: いやー、どうですか、最近は。
- なっち: 最近? 体調とか?
- れお: 世のなかの、国際情勢。
- なっち: はっはっは、ウチらそういうシリアスな事情いっさい触れないって言ってたよね。
- れお: そう、俺らはもう物議をかもす話題はいっさい触れない。炎上をもっとも恐れているので、安全なテーマでただひたすらしゃべるのがこのインスタント座談会である。
- なっち: ヒドいときはテーマもなくしゃべるよね。つーかじゃなんだったんだよ、さっきの国際情勢の急なフリ。炎上するだろ。
- れお: 波紋を呼ばない座談会だからさ、イスラムとか触れないよね。
- なっち: 触れない! 触れないよ! イスラムでしょー、あと少年法ー。
- れお: たいへんなことになってるけどね世論では。まぁまぁ悲哀こもる人生を歩む高校の同級生の男女で今回もやろうよ。ようはね、まえにさ俺なっちに花井悠希さんのCD貸したじゃん? で、なんかしゃべりたいことでもあるのかなーって。
- なっち: あーそうそう! わたしがさ、寝るまえに聴いたり、休日の午後に紅茶を飲みながら華麗に読書するときのBGMで、歌詞のない音楽はないか? って、れおに相談したんだよね。で、れおがみつくろって貸してくれたCDのなかに、花井悠希さんのCDが入ってた。
- れお: “華麗に読書”ってなんだよ。座して不動だろ読書なんて。あれ? あのときほかにだれのCD貸したっけ?
- なっち: んっとね、押尾コータローさんとか、world's end girlfriendとかだったよ。押尾さんはDVDも観たけど素直にすげーって思えた。ギターであんなに音色だせるんだね…!
- れお: world's end girlfriendはちょっと不向きだったかな。
- なっち: うーん、いい音楽だとは思ったけど、寝るまえには聴けないかな。あと華麗な読書中にも。
- れお: “華麗な読書”えらい推すねぇ(笑)。まぁいいけど。花井さんがさ、けっこう俺らの地元のわりと近隣のご出身だってことは、こないだもここで話したよね。
- なっち: ねー、ビックリした! れおは会ったことあるの?
- れお: んー、サイン会でごあいさつ、くらいかなぁ。花井さんが俺のこと憶えているかは果たして疑問だが。
- なっち: でもすごいよねー。わたしポップスは国内も海外もとくに隔たりなく聴くほうだけど、クラシックってあんまくわしくないのよねー。
- れお: なっちのそういうところさ、完全に俺といっしょなんだよね。俺もさ、邦楽洋楽云々で聴き分けるの好きじゃなくて、いい音楽だったらなんでも聴くんだけど、クラシックはほぼほぼ未開拓だもん。楽曲がどういう背景で書かれたとか、そういう予備知識さっぱり知らないよね。ただただ耽美なメロディに心をあずけるような聴きかたしてる。
- なっち: わたしもドヴォルザークとかドビュッシーとか名前しか知らないけど、でもさ、花井さんの『光の風』聴いてると、「あー、なんかこのひとってホントに音楽こうやって演奏するのがたのしくてしかたないんだろうなー」って思うもん!
- れお: 躍動っていうかさ、聴いてる自分の気持ちにまで高揚感を感じるんだよね。
- なっち: 軽快なテンポだとこっちもたのしくなっちゃうよね。そういう音楽すごい好きー。
- れお: 読書にはピッタリでしょ。ほどよくホップステップして、ジャンプせずにゆっくりしゃがむ、みたいな、まったり感。
- なっち: うんうん! ジャケットとか、解説ブックレットのなかの写真とか見たけど、ふんわりしたナチュラルガールって感じですごく可愛らしい方なのね。
- れお: なんか「森ガール」系の雑誌で撮影とかやってたよ。
- なっち: えっ、そうなの⁉︎ そりゃこの自然体な雰囲気だもんねぇ。こんだけかわいけりゃ、そーゆーの載るのもわかるわぁ。てか、れおって女性誌なんて読むの?
- れお: 読まんわ。母親が教えてくれたから本屋で見ただけ。
- なっち: あー、れおのお母さんは花井さんと面識あるんだっけ。バイオリンってわたし高校の芸術選択科目で音楽を選んだんだけど、遊びでバイオリン弾かせてもらったら、なんかドラえもんに出てくるしずかちゃんみたいな音しか出なかった。
- れお: しずかちゃんって(笑)。よく知ってるね。そうそうしずかちゃんの趣味ってバイオリンなんだけど、ノコギリみたいな音しか出ないんだよね。
- なっち: ギー、ギ〜コギ〜コ、みたいな。
- れお: そういやなっちってピアノもやってなかったけ?
- なっち: ピアノはまぁ中学まではやってたなぁ。でも妹のほうが上手だったからバカバカしくなってやめた。
- れお: えーでも、じゃあさ、ピアノのこととかはけっこう解るっていうか、感じ入るものがあるんじゃない?
- なっち: 伴奏のピアノでしょ。あれムッズッカッシイよー。わたしやめちゃったけど、いちおうガチめにピアノやってたからそこそこは解るんだけどさ、ピアノソロというか、独奏なら表現の幅もひろがるし演奏しやすいのよ。でも伴奏となるとバイオリンの邪魔しちゃいけないし、そのなかで技巧的なメロディを選ぶのってけっこうたいへんだと思うんだ。林そよかさん? だっけ? このひとセンスあるなーって、偉そうだけどけどそう思ったよ。
- れお: なるほどねー。なんかさ、この『光の風』ってアルバム、クラシックなんだけどかまえてなくて聴きやすいんだわ。なっちが言ったとおり、たのしい!って感情が伝わってくる。
- なっち: そういう意味ではさ、れおの好きなバンド、アレなんだっけ? 名前ど忘れしちゃった。
- れお: GLAY?
- なっち: いやーGLAYじゃない。なんだっけほら、なんとかスクエアー。
- れお: ああ、UNISON SQUARE GARDENね。
- なっち: そう! あのバンドのベースのひとさ、楽器とアンプにシールドつないであるのに、ステージを縦横無尽に暴れまわってて、まさに荒ぶれた印象だったんだけど、あのひともパフォーマンスとして派手に振る舞ってるわけじゃなくって、「自分の好きな音楽を演奏すると自然と身体が動く」って言ってたんだよ。どっかのインタビューで読んだの。
- れお: そうだね。ベースのひと、田淵さんっていうんだけど、けっして魅せるための立居振舞じゃなくって、ただ好きな音楽を弾いてるだけなんだよね。ユニゾンの作詞作曲もそのベースの田淵さんだよ。
- なっち: へぇ、そうなんや! ユニゾンのベースってあんなに暴れてるのにベンベコすごい音数多いじゃん? なんかね、ユニゾンのその田淵さんベースラインと、花井悠希さんのバイオリンのメロディが、わたしのなかでタブるのよ。ぜんぜん畑ちがいなんだよ? そりゃさすがに花井さんはクラシックだから演奏中に足あげたり首ふったりしないけどさ。「好きな音楽を好きな楽器で演奏する」ってことは、しっかり音にも表れるんだなぁ、って。そういう意味で共通してるの。
- れお: そこまで言ってくれると貸した者としても冥利につきるわ。
- なっち: あ、そうそう。ウチのいちばん下の妹なんだけどさ、花井さんの母校に通ってるのよね。
- れお: あ、ホントに? 後輩じゃん。てかさ、なっち家っていうのは、長女のなっちだけ公立高校なの?
- なっち: うるせーよ。わたしはさ、反抗期がものすごく早くて、小学校でお受験とか御免こうむりたいわってずっと言ってたの。
- れお: あっ、そうなん⁉︎ でもさ、そのわりには俺となっちの母校の高校ってわりと進学校だよね。
- なっち: そう、なんだかんだ言って進学校にすすむっていう、この哀しみの人生。
- れお: 俺らの母校ってさ、まぁ流れ的に名前も伏せてるし言わないけど、フツウに進学校じゃん?
- なっち: まぁ地元じゃいちばんレベル高いよね。れおなんかは理数科だもんね。すごいよ。わたし理数科も受験したけど落ちたもん。
- れお: いやまぁおなじ高校に普通科と理数科ってあってさ。理数科のほうがちょい偏差値が高めなんよね。でもなっちはけっこう優等生だったじゃん。関係ないよクラスなんて。
- なっち: わたし受験で理数科ダメでスライド式に普通科に入学したけどさ、れおのはなし聞いてるとけっこう普通科でよかったなって思えるんだよね。
- れお: けっきょくそう思ってんじゃねぇか。だってさ、俺もなっちも文系じゃん? 理数科って、まぁ読んで字のごとくだけど、理数系の科目が死ぬほど多いんだわ。数学なんて一日二回あるし、受験で100%使わないのに数ⅢCの授業とらされたし。
- なっち: でも高校のとき言ってたじゃん、「数学の才能にめざめた」って。
- れお: いやあれはさ、まず文系理系にかかわらず数学ⅡBまでは全生徒が受けるじゃん。まぁ俺は赤点くらったりとかしてたけど。
- なっち: そうねー、ⅡBまではわたし苦労した。ベクトルとか空間座標とか泣きながらやった。
- れお: でね、案の定ⅡBまでは俺もさっぱりだったのよ。でもⅢCとなるとさ、受験にかかわらないと知ってるから、なんか気楽に問題と向き合えたんだよね。で、ⅢCの成績だけやたらよかった。不要とわかったとたんにスラスラ解けた。
- なっち: あっはっは。それであのとき「めざめた」って言ってたわけね(笑)。
- れお: あとなんか物理もとらされたしね。
- なっち: わたしが4 STEPやってる横でさ、れおが「等加速度直線運動」とかブツブツ言ってたの憶えてるもん。
- れお: そう、しかも「等加速度直線運動」って超初歩だからね。そういやあったねー、4 STEP。数学の問題集だよね、定期的に提出義務があった。
- なっち: そうそう、わたし泣きながら青チャート開いて応用問題やっててさ。
- れお: 青チャートって参考書さ、基本問題は4 STEPに似たような問題ならんでるんだけど、応用問題になるとぜんぜん傾向のちがう問題が載ってるんだよね。
- なっち: そう! 基本問題はさ、数字を換えただけで解きかたはいっしょじゃん。青チャート見れば解きかた載ってるわけよ。でも4 STEPの応用問題はアプローチからまず青チャートとちがうっていう。
- れお: アレさ、テストとちがって、問題を解く過程も書かなきゃいけないわけじゃん。なんてったって問題集なわけだし。
- なっち: そう、答えそのものは後ろのほうに載ってるのよね。だから計算の途中式を書いてないと「答え写しただけじゃないか」って言われて受理されなかったシステムね。
- れお: 俺それがどうしても解けなくて数学の得意なクラスメイトに4 STEP借りて計算式の部分を丸写ししたもん。
- なっち: クズ野郎だなおまえ。でもたしかに、理数科って数学得意な子の巣窟じゃん。そういう意味ではお手本の宝庫だよね。あれ? 理数科で文系の子って何人だっけ?
- れお: 俺ふくめて8人くらい。クラスが40人ね。だから三年次には理系科目は普通科のクラスと合同授業の教室だったよ。
- なっち: あー、ガチ理系の子とはレベルちがうもんね。てか理数科文系の数ⅢCとか物理ってさ、ようするにカリキュラム上で受ければいいわけであって、あんま成績とか関係ないよね。
- れお: 赤点さえとらなきゃね。じっさい採点もあまいんだよ。けっこうしょうもない基準で正解もらえたり。
- なっち: わたしアレいまでも好きだわ〜、れおの物理作文の追加点のヤツ。
- れお: あー、アレね。俺、物理の試験問題がマジで解けなくて、でも平均点の50%未満の点数とると赤点なんだよ。
- なっち: あっはっはっは、その話めっちゃすき、続けて(笑)。
- れお: 俺けっきょく100点満点中17点しかとれなかったんだけど、答案の裏に「物理と私」ってエッセイを原稿用紙2枚ぶんくらい書いたら、それでプラス10点もらえて27点。そんときの赤点基準が25点だったからギリまぬがれるっていう。
- なっち: はっはっはっはっは(笑)。何回聞いてもおもしろい。たぶんそのはなし、れおの口から出た回数よりも、わたしがリクエストした回数のほうが多いよね。
- れお: そうだね。たぶん俺が思ってる以上になっちそのエピソード好きだもん。
- なっち: すき♡ どんなエッセイ書いたんだっけ?
- れお: ようは受験にまったく関係のないところでこの物理の試験教室にいるわけで、「私がこれほど受講することを拒みつづける物理学という学問を、遠い空のしたで爆撃の戦火の渦中にいる子供たちに学ばせてあげられたらどれだけ幸福だろう」って前置きをしてさ。
- なっち: あっはっはっは(笑)。発想が突飛すぎて斜め上のほう跳ねあがるんだけど(笑)。
- れお: それで、「ボイル・シャルルの法則が実在気体では成立しない理想であることからも、理想はついに存在しない。私はこの物理の試験問題を全力で解答できる幸福を、この試験時間を示す時計の針の進度とともに享受しようと思う」的なこと。
- なっち: あっは、そのなんとかシャルルの法則まったく知らないけどフツウに異常だわ(笑)。
- れお: 最終的に「我々はポテトよりもステーキを好むにもかかわらず、毎日のように肉を食べることはできない。しかし、じゃがいもは毎日のように用意できる。肉を理想としながらも、現実はじゃがいもである。だが、よく考えてほしい。ステーキに、ポテトは付きものだ。理想と現実は一体の概念なのである。この物理学の問題を、戦争難民の子どもたちに教えてあげられる未来も、そう遠くないはずだ」みたいな結論でしめた。
- なっち: あ、そこで『牛肉と馬鈴薯』が出てくるわけだ(笑)。
- れお: そう、国木田独歩の名著の内容を丸パクリするっていう。
- なっち: あとなんだっけ、「日本史の赤点ギリぬけ談」もなかったっけ?
- れお: あぁ、そのはなしはねー、特段おもしろくもないんだけど。まぁご存じのとおり俺は高二から典型的な不登校児だったわけよ。
- なっち: 模試の日ぜんぶ休んでたよね。定期試験も答える気なかったんでしょ?
- れお: そう。下手に解答欄いいかげんに埋めて、教師に「コイツぜんぜん勉強してねぇな」って思われるのは向かっ腹な気持ちになるから、解ける問題もあったけどまったくの白紙で提出してた。出席番号と名前だけ書いて。
- なっち: なんなのそのプライド(笑)。でさ、日本史の試験、たしかあのときウチらおなじ教室だったよね。社会科教室A。わたし問題を解きながられおのほうチラチラ見てたもん。
- れお: あー、そっか。理数科で日本史を選択する生徒って、俺ともうひとり女の子しかいなかったもんね。理数科って9クラス中の9組だから、合同教室だと必然的に端っこの前のほうなんだ。なっちが偶然うしろの席やったんやね。
- なっち: そうそう。でさ、そのときれおが開始10分くらいでパタッと机に突っ伏して寝ちゃってさー。まーた白紙で出すんだろうなーって心配してたんだけど。
- れお: じつは白紙じゃなくて、大問3までは埋めてたっていうね。
- なっち: 10分で大問3までぜんぶ解くのもスゴイけどね。なんだかんだ言って学校に来てないだけで勉強はしてたんでしょ。
- れお: してたよ、そこそこに。でも、大問4以降も解けたけど解答しないで、ようするに解答用紙の最初の3分の1だけ埋めて出したんだよ。当時なりの反抗だと思うけど。で、ぶっちゃけ赤点で追試だろうなぁって思ってたら、その大問3までが全問正解で36点あって、追試験まぬがれる、ってはなし。
- なっち: あははー。おもしろいけど、やっぱなんだかんだ頭いいよね、れおって。そりゃ理数科入れるわ。
- れお: やめろ恥ずかしい。でもさ、その日本史の試験にガチ勉して臨んだ俺の友達が赤点で追試受けて、めっちゃ嘆いてた事実のほうが個人的にはおもしろい。
- なっち: あっはっは、それウチのクラスの子だ(笑)。
- れお: だいたい俺は極度の人見知りだから、他クラスの生徒と一緒くたにされて試験受けるのがそもそもイヤだったわ。
- なっち: れおと矢野さんしか理数科いなかったよ、たしか。
- れお: 矢野っちね。まぁあの子も数学苦手で俺といっしょだったけど、あんまり移動時間にしゃべる感じでもなかったしなぁ。
- なっち: え、でも小学校のときかられおと矢野さんいっしょなんでしょ? むかし好きだったって言ってなかった?
- れお: 「むかし」って10歳のときだぞ。なに暴露してんの。
- なっち: でもなんか矢野さん、れおのことすーごい心配してくれてたらしいじゃん、不登校のとき。
- れお: あー、それは直接本人から聞いたわけでもないんだけど、なんか「れおが学校に来やん…、ウチが守ったらなあかん」みたいなことを家で言ってたらしくてさ。それ聞いたの母親経由で、卒業してからだったんだけど、なんかやっぱ、ちょっとうれしかったよね。
- なっち: いやーん、なにそれ感動ー! めっちゃいいエピソードやん! けっこうサバサバしてる子だったのに、学校に来ない小学校からの同級生を心配する女の子、ドラマだぞこの幸せ者っ!
- れお: なにかと感謝してるのよあの子には。それで言ったら理数科で三年間いっしょで仲良かった連中いまも年末とか年始とかで会ってるからね。
- なっち: 理数科っていったら、まぁイベントごとが多かったよね。理数科合宿とか、理数科研修とか。そりゃ仲良くもなるよねぇ。
- れお: 合宿はまぁたのしかったよ。夏休みにあって、まぁ任意参加なんだけどさ、山奥のロッジに二泊三日で泊まりこんで、勉強するっていう。
- なっち: キモ…。
- れお: マジトーンでひくなよ。やってることはキモいけど、勉強以外はけっこうワイワイやってたよ。夜は花火大会したし、寝るまえはゲームだし。
- なっち: あー、なんかそうらしいね。修学旅行ノリでしょ。でも夏の山奥ってけっこう虫とかいない?
- れお: それなんだよなー…。
- なっち: あっはっは、いたんだ。
- れお: トイレとかさ、廊下に共用トイレがあるんだけど、常夜点灯してるからもうなんか見たことのない虫が光に集ってウジャウジャいるの。
- なっち: う〜〜〜わ〜〜〜。なに、見たことない虫ってどんなの? 一種類くらいサンプル挙げて。
- れお: サンプルかぁ。なんかゴキブリにモスラみたいな羽が生えたやつとか。ニョロ系だと光沢のあるスライムみたいなムカデとか。
- なっち: うわヤだ〜〜〜。なにそれ。
- れお: あとなんかあったっけなぁ。
- なっち: やめて、もうやめて。聞いたわたしが悪かった。
- れお: 降ってくるもん。用を足してると、天井から虫が。
- なっち: イヤ〜〜〜〜〜。ほんとムリっ。わたし理数科に落ちてよかった。
- れお: あっはっは。まぁそういうイベントもいまとなっては思い出だけど。
- なっち: 理数科研修は? あれなにやってたの、平日のど真ん中に?
- れお: あれはなんか社会科見学みたいなもんでさ。普通科の生徒が授業受けてるあいだ俺らほぼ遊ぶっていう。
- なっち: そうよねー、研修って名ばかりでしょ。わたしまだおぼえてる。火曜日でさ、火曜の朝って毎週かならず英単語の小テストがあって、理数科の子たちそれ受けずにどっかいったっていう。
- れお: そう思えばラッキーだったね。朝の小テストって、まぁ漢字とか英単語とか古文単語とかあったけど、あれもなんだかんだヒドい点とったら追試だし。
- なっち: あと0限授業とかなかったっけ?
- れお: あった! あれはホント生き地獄。
- なっち: 学校の授業ってさ、まぁ1限からだいたい5~6限目まであるよね。
- れお: そう、一般的には朝の一発目の授業が1限目。
- なっち: で、理数科の子って、朝のホームルームのまえに登校してきて、一発目のまえの授業受けんのよね。
- れお: それも数学…。北海道大学の入試過去問とか解かされたりさ。
- なっち: ははははは、そこでも数学なんだ(笑)。しかも北大の過去問ってレベル高いよね。
- れお: どこまで数学やるんだよホントに…。で、その授業を0限授業と称して、そのあとに朝のホームルームやって、フツーに1限目からいちにちを始めるという。
- なっち: アレさ、朝早く来る普通科の生徒に白い目で見られたりしたんでしょ?
- れお: 「コイツらこんな時間から勉強してるよ〜」的な視線ね、みんな感じてたよね。まぁいい思い出ですよ。
- なっち: 高校時代のはなしってさ、何回聞いても笑うよね。
- れお: そう! おなじはなしがおもしろい。
- なっち: 高校のといえばさ、こないだもこれ話したと思うんだけど、ウチらの共通の友人でサッカー日本代表の本田圭佑選手にすーごい似とる子おったやん?
- れお: なんなら数年まえ「三角形」ってあだ名付けてたよね。
- なっち: アイツ結婚するらしいよ。
- れお: マジで⁉︎ えっそれマジで言ってんの⁉︎ 聞いてねぇ。てかアイツ大学院進学するって言ってたよ二年くらいまえ。
- なっち: そうだっけ? なんか彼女が「そんなに待てない」って言ったらしくてさー。
- れお: それでポキっといったの? なにその不安定な人生プラン。
- なっち: 本田さんカッケェーもとい本田△が結婚するとは思ってなかったよね。
- れお: うーわ、しかも俺なんの連絡も来てねぇし。
- なっち: なんか身内だけで式あげるみたいだしねぇ…。ビックリだよね。わたしも知ったときコーラ噴いた。
- れお: きたねぇなぁ。理数科の教室にアイツ来たときさ、一時期だけ話題になったよ。
- なっち: あっ、えっアイツさ、理数科の空気マジで苦手って言ってたのに、入ったことあるんだ。
- れお: うん、配布物を渡しに来てくれた。
- なっち: あっやさしー。れおに用事だったのね。理数科の空気ってたしかに入りづらいよね。ウチらの代ではほとんど男子しかいないし。本田△の気持ちもわかる気がするよ。
- れお: てかなんでこんなに理数科のはなし掘り下げてんの?
- なっち: なんだっけこれ。なんのはなしをしてたんだっけ?
- れお: えーとね…花井悠希さん!
- なっち: そうだった! 花井悠希さんのはなしだった! いやぁ脱線したねぇ。
- れお: 話題ぜんぜん飛びまくったけど花井悠希さんのはなしだね。このさ、はなしの流れ泳ぐ感じ俺らの長所であり短所だよね。
- なっち: ね。なんで花井悠希さんから本田△のはなししてたんだろ。しかもいま2015年だからね⁉︎ 本田△が流行語大賞にノミネートされたの前々回のW杯じゃん。まぁまぁはじめようよ、あらためて。
- れお: 『譚詩曲』のほうもさ、聴いてくれたんでしょ?
- なっち: 聴いたよ〜! わたし「夢みる兵士」だいすきでさぁ。まぁケイト・ブッシュ自体はクラプトンから入ったんだけど。
- れお: 実直に、アルバム全体の雰囲気どうだった?
- なっち: 物語チックだったよ。てか花井さんがそういうコンセプトで選曲したってブックレットでおっしゃってたし、たしかになにかファンタジーに通ずるものがあるよね。
- れお: 俺さ前回のここでも話したと思うんだけど、ファンタジー小説って読書の原点みたいなところあるんだよね。
- なっち: ダレン・シャンとかハリー・ポッターとかだっけ?
- れお: んーいや、ハリポタは三作目で止まっちゃったんだけど、けっこうファンタジー系の小説は読んだ。
- なっち: れおってさ、わたしの知ってるれおは、まえも書いたと思うけど高校スタートなんよ。そのときれおが読んでた小説って、夏目漱石とか、幸田露伴とか、谷崎潤一郎とか、明治の文豪ばかりでさ。ファンタジーの原点があるのちょっと意外ー。
- れお: まぁ人生、二転三転する嗜好もあんのよ。『譚詩曲』は、なっち的にどんな印象、っていうかアフターテイストが残った?
- なっち: やっぱ「退屈」かなぁ。いい意味での「退屈」ね。そこ誤解しないで。
- れお: あー、眠くなるって言ってたもんね。
- なっち: それがいいのよ。れおにオススメしたじゃん、村上春樹の『海辺のカフカ』。あれに出てくるシューベルトのピアノソナタといっしょ。
- れお: あれね。『海辺のカフカ』、父親が持ってたけど読んだことなくて、なっちが勧めてくれたんだよね。まぁ名言格言のオンパレードでさ。
- なっち: ね、よかったでしょ? 「この世界において、退屈でないものには人はすぐ飽きるし、飽きないものはだいたいにおいて退屈なものだ。そういうものなんだ。僕の人生には退屈する余裕はあっても飽きているような余裕はない。たいていの人はその二つを区別することができない」
- れお: 大島さんのセリフのなかでもかなり好き、その一節。
- なっち: でしょぉ? 「退屈」ってある種の持続性が認められなくちゃいけないの。持続性があるからには、慣れちゃう。それがすなわち、「飽きない」ってことだと思うんだよねぇ。
- れお: 逆にさ、いちど踏みこんだものに飽きたら、そこにはもうその持続性がないわけだよね。おもしろいがゆえに飽きなかったものが、飽きてしまったらおもしろくなくなるから。
- なっち: そうなのよ! だからさ、花井さんの『譚詩曲』は一定の持続性をもって興味を保てるんよね。
- れお: それが「退屈」ってわけね。あんまそういう見方してなかったなぁ。
- なっち: ほんっとにもう延々とディスクリピートしてるもんね。土曜の午後とかに、紅茶を片手に。
- れお: 優雅かよ。俺はさ、自分で音楽つくってる実体験があるからコレ言えるんだけど、ミュージシャンとかアーティストって、「たとえ日々の生活のBGMでもいいから、自分の音楽を聴いてくれるなら本望だ」みたいなとこあるんだよね。
- なっち: あー、そうなんだ。いいよね、すこしでも自分の音楽がそのひとの暮らしを彩ってくれたら、そりゃミュージシャン冥利につきる、って感じなのかもね。
- れお: まわりにはさ、仕事中に音楽を聴いたり、移動中に音楽を聴いたりすることは、「音楽を聴く姿勢がよくない」っていうひともいるんだけど、そういうのって音楽を分析的に聴いてる自分に酔ってるだけであって、制作者はそんなことぜんぜん望んでないよ。すくなくとも俺の周囲のバンドマンは。
- なっち: そういう姿勢で分析的に音楽を聴くのは、音楽の仕事するときだけでいいよね。まーわたしはれおみたいに作曲とかできないから、あんま偉そうなこと言えんけど。
- れお: いやまぁそこまで考えて音楽を聴けてるならいいと思うよ。
- なっち: 花井さんの音楽は彩りに最適。すごい気に入ったもん。
- れお: そりゃよかった。花井さんさ、1966カルテットってグループにも所属してて、よかったらそれも貸すよ。
- なっち: なに? 19…ワンナインシックスシックスで読み合ってる? ナインティーンシクスティシクス?
- れお: あーごめん。イチキュウロクロク・カルテット。ビートルズのカバーを中心にクィーンとかマイケル・ジャクソンとかを、ツイン・バイオリンとチェロとピアノの四重奏でカバーしてるんだけど、クオリティが高いのなんの。
- なっち: そんな活動もされてるの⁉︎ いやーぜんぜん無知だった…。わたしビートルズは人並みには好きだよ。
- れお: アビイロードスタジオでレコーディングとか、キャバーンでライブとかしてたり。
- なっち: キャバーンってビートルズの聖地じゃん! しかもアビイロードってあの横断歩道でしょ? え、なに花井さんってそれ系のロックとか聴くの? クィーンってけっこう激しくない?
- れお: クエスチョンマーク多すぎ(笑)。花井さんの好きなバンドいくつか知ってるけど(母親経由で)、公表してないっぽいからここでは言わないけどさ。
- なっち: えーなんか俄然興味わいてきた。バイオリンとピアノとチェロって、ようするにクラシックでビートルズのカバーってことでしょ? わーすごい聴きたい♡
- れお: こんど貸すよ。
- なっち: 華麗な読書のBGMにビートルズのインストとか最高かよ。なんか興奮してきた!
- れお: なんか俺が「はなし広がればいいな」って石投げたらなっちが一方的に盛りあがったね(笑)。
- なっち: わたし真ん中の妹がマイケル・ジャクソン好きでさ。ダンスやってんのよ。EXILEに走らないあたりがウチの家系なんだけどさ。
- れお: けっこうなっちの家ってシブい趣味もってるひと多いよね。
- なっち: なんならお父さんの書斎にウッドストックのポスターみたいなの貼ってあるからね。
- れお: マジで? じゃ1966カルテットけっこうハマると思うよ。
- なっち: 期待しとく!
- れお: これさ俺らなんの話題も決めずにしゃべりはじめて、花井さんのはなしから高校の思い出ばなしに泳いでまた花井さんにもどってきたけど、編集とかしないからね。このままコピペしてブログに投稿する。
- なっち: あっはっは(笑)。いいよわたしは。
- れお: なんか長くなっちゃったね。
- なっち: うん、最長じゃない?
- れお: そうかも。まぁひまなときにまたチャットしようよ。
- なっち: そうね。じゃ、また。
- れお: また次回をお楽しみに。お相手はれおと…。
- なっち: なっちでした〜。 またいつか!
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