キャラクターがどうとか、設定がどうとかじゃなくって、もちろん声優がとか作画がとかですらないんだけど、子ども心に無心になってボーッと永遠に観ていられるアニメだと思ってた。
おかしなことにどっちがトムでどっちがジェリーなのか、ネコがどっちでネズミがどっちなのかさえ、もう憶えていない。ほんとうにただ子どものころ好きだったんだなって感じの思い出でしかない。そういう類似したキャラクターを見分けるのは苦手だった。もしかしたら子どもだった当時もわかってなかったかもしれない。ぜんぜん関係ないんだけど僕はチップとデールの識別もグリとグラの判別もできない。
しかしトムとジェリー、これは一部にとってとても需要の高い作品だと思う。電車のなかみたいな、そういう「なにか生産的なものを受け入れるには微妙すぎるひまな時間」にうってつけ。もしあるものなら、いまからTSUTAYAに行ってコンピレーション傑作選でも借りてきたいくらいだ。
先日だれが悪いでもない不慮すぎる事故に遭って前歯の一部が欠損し歯医者に通ってるのだけど、そこの歯医者はいつもトムとジェリーを流してくれる。どうせ本を読んでても途中で名前を呼ばれて中断したりするんだから、非生産的なトムとジェリーをひたすら観るのはなかなかいいんだと思う。
そこで歯医者の先生にひとつ頼みたい。お願いだからフルートの音色がうつくしいアメイジング・グレースをヒーリングミュージックで流しながら火だるまになったネコが七転八倒するトムとジェリーのサイレント放送を映すはやめてほしい。
メンタルが狂いそうになりながら、今週も前歯の治療を待っている。うつくしい音楽を聴きながら、海賊の短パンのなかでネズミが歯をむき出しに動きまわる無音放送を観ている。
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