インスタにも投稿したと思うけどあらためて。
いなべ市在住の彫刻家・はしもとみおさんの個展「木彫りどうぶつ美術館 はしもとみおの世界」にお邪魔してきました。前評判は聞いていたものの、おどろきとびっくりばかりだったので備忘録としてブログ書きます。
まず、はしもとみおさんは兵庫県尼崎市のご出身で、大のどうぶつ好きなかたなんですね。小学生のときに飼っていたワンちゃんを亡くしてしまい、それ以来どうぶつのお医者さんになろうと決意され、獣医の道に進もうとしていた。
そんななか、1995年、阪神淡路大震災。ご実家のある兵庫県も被災し、災害によって家をなくす人や、飼い主と離れてしまい安楽死させられる動物たちを間近に見て育つ過程で、「腕一本で力になる、自立できる生きかた」を志すように。
みおさんは、「どうぶつを、真の意味で教えるのは、医学ももちろんだが、人を動かすこと」だと感じておられ、「どうぶつたちの、そのふるえるくらいに美しいすがたは、自然を壊す戦争や、人間本位な贅沢な暮らしも、変える力を持っている」という意志から、「どうぶつの命」をテーマにした彫刻家への道を決意する。
ザツに説明するとこういった経歴をもつかたなのだけども、まぁ音楽にせよ絵画にせよ彫刻にせよ、そういうのは生で見てなんぼのものだからスタスタ歩くよヤマザキマザック美術館。
ワンちゃんがお迎えしてくれる。すてき。
鏡にいちゃってるの写ってまっせ、って指摘されたけど無視してください。
どのどうぶつも、リアリティが想像を絶するほど高い。コンビニの軒下に置いてあったら飼い主にバレないようなでなでしてあげたいくらい。どうぶつたちは直接さわる子も何匹かいるので、木彫りでつくりあげた毛並みの質感などをその手で実感できる。ふところがひろい。
お絵かきもされるみおさん。彫刻家という本職をわすれるほどお上手。何枚か飾ってあった絵のなかで、この鯨の絵は個人的にお気に入り。
「かわいい、きれい、かっこいい、すき、きらい。そんな簡単な言葉で生き物を語れなくなった」とみおさん。
諦観のあるこのとんでもねー言葉は胸に刺さりますね。生きるってほんと哲学だ。
オランウータン、SEKAI NO OWARIのドームツアー「タルカス」の舞台美術セットにこんな子がいたな。Fukaseくんがみたらなんて言うだろう。いっしょに音楽とかつくるのかな。ふてぶてしくふんぞりかえる猫ちゃんもすてき。ブサカワとかいう謎の概念を超越してもはや尊い。
なかにはユニークなどうぶつチェスや、カメレオンなんかもいたり。みおさんがスケッチした猫のイラスト帳も飾ってあった。観察眼が天与。
どうぶつって、いきものって、そのものが本当に尊い存在なのだと感じずにはいられない。みおさんの愛犬・月くんを描くみおさんの真剣な面持ちと眼差し、そこに描きだされる月くんのいまにもキャンバスから飛び出してきそうな躍動。ただ、ひたすらにうつくしい。尊さと美しさのあいだで重力にかけられない重さをもつ命をくりぬいていく彫刻家を、僕らはたたえるべきだと思う。そこに掘りだされる木でできた呼吸を、僕らはやっぱり愛らしいと思ってしまう。
できるならもういちど行きたいな。みおさん、ヴァイオリンっていう先入観のせいかもしれないけど、ヴァイオリニストの花井悠希さんに雰囲気が似てますね。
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