「call my name」はそっとなでるような旋律からラストに入ってくるコーラスがいい味を出しているし、そこからしばらく続く序盤のマイナー調の「Timeless Sleep」「pray」は、由利さんのアルトが映えていてすばらしいメドレーになていると思う。
「Naked Story」「スカイ・ブルー」あたりは、一転してポップなGARNET CROW。空って、青空や、雨雲や、夕焼けみたいに、いろんな色があって、人間のように顔色を変える。幼いころ、空のぬり絵を黄色や緑に塗っていたように、空の色っていうのは、自分の好きな色を充てればいいのだと思う。気分次第で、追いかけていって、あとになって「ああ、そういえば黄色だったね」なんて言えるなら、空って素敵な世界の天井だ。
「wish★」「Please, forgive me」なんかは、最近はあまり聴かないアレンジだなあと。由利さんの声の豊かさはすばらしいですね。バンドなんて人間がやる以上、方向性も変わってくるけど、初期は初期らしくって言えることは、まぎれもない変化の証しであって、それが見えたのはうれしかった。
「Timeless Sleep」の歌詞の一節「私の創るこの場所」っていうのは、もしかしたら「Holy ground」の意味にも行き着くことができるんじゃないかな。途方もない無力感と、行き場のなくなったぬくもり、“つなぐ手もないのに片手でまとめちゃう荷物”、でもいつの日か、自分のなかで折り合いをつけて、いまはここにはいられない人が自分のなかに居場所をつくったとき、あたらしい思い出としてまた呼吸できる。そのときは、無力感もぬくもりも、霞んだなかに霧消しているんだと思う。それまでは、偽善者みたいな願いを声にして、「世界が優しい光にいつか包まれますように」なんて言っておこう。変わってくれればもうけもの。人間って、そんなふうでいいじゃんって、なんだか七さんが言ってるようで、少し彼女の世界を垣間みることができた気がする。
素敵な世界、憧れは、ずっと追いかけていたい。そう認識させてくれたアルバムだった。いつか手が届くならなんて、考えちゃうからいけないね。
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