こればかりは…。
容疑者が容疑を認めているにもかかわらず不起訴処分。被害者に謝罪させたばかりか、会見では今村元支配人も吉成社長も不在。また、グループ内のメンバーに関しても、不問という処遇に違和感を憶えるどころか、同立のステージに立っているにもかかわらず不安の声はもちろんコメントはほとんどなし。
個人的には、現状出禁になっている容疑者2名と、その2名と関わり合いになった1名とされる人物について、たった3人だけでここまで大事にできるかとも思う。根本的な要因部分では、もっと組織的に関わっている黒幕のような存在も大勢いるように思える。第三者委員会もそのあたりを明らかにしていない(会社側に肩入れしているからか)のが怪しいし、文春や新潮が静かなのも不気味である。余程表沙汰にできない一枚が噛まれているとしか思えない。
これだけ不可解なピースがそろっているにもかかわらず、一向に解決されなかった。普通は、アイドルの卒業発表でNHKが速報テロップなんて出さない。これが刑事事件なんだという認識が持てない運営には、辟易してる場合でもなくとうに終わらせるべきなんだろう。
現AKBグループで大きな発言力を持つ指原莉乃は、この春にAKBグループを卒業する。HKT48で絶対的エースとしてステージを引っ張った彼女は、テレビ番組で、残されたメンバーに向けてこう言葉を発した。
これから先いろんなことがあると思いますが、ファンのみなさんが嬉しいことを優先にしてください。ファンが嬉しくないことはやらなくていいと私は思っています。ファンのみなさんが喜ぶことを中心にやってください。
なんて、いい言葉なんだろう。
いま、NGT48をはじめAKBグループのメンバーたちは、きっと混乱している。どんなに気がかりでも、今回の一連の事件や卒業報道に関する発言を禁止されているだろう。かといって、動揺を隠して何事もないように普段どおり振る舞えば「こんな事件の最中に、不謹慎だ」などとステージの下から勝手なことを言われる。
メンバーとして心配することもできないし、アイドルとして笑顔でいることもできない。では、残りのメンバーはどうすることが正解なのか。そんな渦のなかにいるメンバーに向けて言った指原の言葉に、僕はやはり、彼女がプロのアイドルであることを認めざるを得ない。
「ファンのために」は指針だ。アイドルとして存在するための指針。同時に、ファンを安心させてくれる思いやりが詰まっている。そして、メンバーが「ファン」のために行動するなら、ファンは「山口真帆」のために行動するべきだ。
SOSの勇気をもった彼女と、彼女に寄り添った3人がグループを去る。だれよりも真面目に、アイドルを、人間としての正義を貫いた子たちがステージを追われ、夢を諦めるという意味を、一生かかっても運営は考えないだろう。たとえ、この事件が白日を見ないとしてもかまわない。だからどうか、せめて彼女たちに、もう一切の悪手に怯えることなく、笑顔で営める生活がありますよう。
アイドルを、かけがえのない経験だったと言い切るのは、きっと難しいだろう。ステージの上から見た光景を忘れるとしても、それがまぎれない幸福に向かうことを、信じている。