うるせぇ生きよう!

2023/12/30

t f B! P L
御仁方々2023年を締めくくるクライマックスなことでしょう。僕はお年玉の用意に追われています。こんな年の瀬なのに無地のポチ袋どこにも売ってねぇ…。

この一年半とすこし、方々面々さまざまご心配をかけてまわってスタコラサッサでございますが、そんな僕はまだ10キロの米すらまともに持てない非力な怪我人である。一年ほどまえは「まぁ着実にがんばっているしこのままだと来年にはみなさんありがとうございました心配をかけたかもしれませんがこのとおり完全復活でありますシャキーン」みたいなことを言えるんじゃなかろうかと控えめな満足と希望的な将来観を抱えていたもんだが、現実は甘くない。正味マジで折れるかもしれん、と思う局面もある。

日常、という言葉をどれほど実態として取り戻せているのか皆目わからん生活のなかで、やはり時間とは有給とおなじでキリキリで使い切ったほうがいいと感じた。「考えてしまう」のだ。

そもそもリハビリを続けている大怪我人という立場でありながら、県境を挟んで遠方ながらに勤しんでいた劇団のリモートワークを半バックレ状態でブッチしたことが良くなかった。なぜなら、もうだれにも遠慮することもなく無職になることは、答えのない自問や思考をする時間を与えてしまい、やけっぱちになったり、先行きならない未来を嘆いて泣いたり、不運を悲しんでもういい死のうとかいう極端な結論を導いたりすることにつながる。名誉も誇りもない劇団の仕事なんて慎ましやかに続けて給料もらっときゃよかったのだ。

でも、正直あのときは限界だった。

あまり詳らかにしたくないので輪郭をにじませて書くけど、あのクソ上司とこれ以上仕事をしたくなかったし、うちのチームがどれだけ強大な筆力を失うこととなろうがけっきょく僕は自分が可愛かった。劇団四季に未練はないので、すまんが身は守らせてくれや、という態度である。

代償はでかかった。考える時間が無量にできたのに、一方で収入はなくなったんだから。

考える時間があると、ひとは考えてしまう。そら稀代のブッディストたちも悟りの境地でアルカイックスマイルたたえて「生者必滅会者定離」つって諸行の無常をかみしめますわ。ただでさえ展望のひらけない未来が、もはや明日の我が身さえろくすっぽ保証できなくなった。力もナイ、お金もナイ、ナイナイばっかでキリがナイ。でも時間はある。いまはネガティヴだから心配ごとや悩みごとばかり考えてしまうけれど、もし底なしのハッピーなら万物のことわりを気の利いた短い一言で端的に言い表せた可能性すらある、と思うくらいある。

だからパート始めたり、「残業なし」「週2日〜」の条件で派遣の仕事を入れたりして、できるだけ生活や衣食住に近いポジションをキープしながら、しゃかりきに残業したり派遣先に週4出勤したりしている。おかげで考える時間は減ったが、今度は会社を燃やしたい。





今年、以前によく似たリハビリをしたことのあるかたとお話をする機会があったが、強く感じた結論が「似たような喜びはあるけれど、おなじ悲しみはきっとない」というものだ。

本当にそうだ。まったくおなじ体験をしても、その過去は一固有としてそのひとのものだ。性別や年齢、社会的地位や血縁関係、そのひとの在りかた、そのひとがどんな生涯を送ってきたか。地上に見えているおなじ芽は、別々の根の張りかたをしている、全然違う植物だ。なのに、なにか解答への糸口を期待してしまった。申しわけないけど、これっぽちも見えなかった。

だから同様に、きっと僕が僕の体験から削り出すうまそうな言葉のケバブも他人にとっちゃあびた一文の役にも立たない。どんだけ顔を歪ませながら似たような苦汁を飲んでるひとがいても、僕はせいぜい「うるせぇ生きよう!」としか言えない。…ルフィがチョッパーを仲間に誘ったときのような台詞だ。ひとつなぎの大秘宝も海賊王の座も僕の人生には登場しないが、「理屈や道理の筋をねじ曲げてでも目の前の欲求に従って、ツケや責任は宝払いするからいまは直感の縁を大切にしたい」というのは肌身感覚で理解できる気がする。

大損をこいて、周回遅れで走るレーサーに成り下がっても、感覚的にはいまの生活を「たのしい」と受けとめている。これでもまだマイナスからゼロにもどる道中にいるが、ときおり燃料を積んだり車体を磨いたりして、いざそのときが来たらすぐにでもスタートダッシュを切れる準備はしている。だからいつかは前線に戻れると思う。やるっきゃない。





幸いなことに今年の夏は友達とキャッチボールなんかもできたし、大勢の子どもたちとアクティヴな遊びだってできる体になった。車椅子をせこせこ転がしていたころからは想像もできなくて感無量だったのを覚えている。来年こそアンダースローでピッチングしたい。スロウカーヴも投げたい。

押し黙ったぶんはきちんと動いて取り返すつもりだ。自分の足でそのひとのもとへ向かうことがどれほど尊いことかを知ったので、会いにいけるひとには会いにいきたい。ほのぼのと春こそ空に来にけらし、春に失ったもんは春に拾おうぜ。

では。みなさんナイスな年の瀬を。

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好きな言葉は「アイスクリーム4割引」、嫌いな言葉は「ハーゲンダッツは対象外」です。趣味はドラえもん考察。読売ジャイアンツのファン。高2のとき現代文の全国模試で1位に輝くも、数学に関しては7の段があやしいレベル。

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